VAERSというシステムをご存じでしょうか。日本語ではワクチン有害事象報告システムという意味で、アメリカの疾病管理予防センター(CDC)と食品医薬品局(FDA)が管理しているワクチン投与後の情報収集システムです。
厚労省の第57回ワクチン分科会でも取り上げられていて、説明を見ると以下のようにあります。
予防接種した方が、誰でもオンラインでレポート提出・閲覧が可能なシステムのようです。このシステムのメリット・デメリットについてもまとめられています。
一般の方が誰でも報告できるので、迅速にデータ収集できるという点がメリットと言えそうです。
しかし一方でデメリットとして、レポートバイアス(偏り)があることと、不完全なデータであることが指摘されています。
レポートバイアスとは
私などもそうですがワクチンに対して不信感を持ってしまうと、色んな事象が「ワクチンのせいでは?」と考えに偏りが出てしまうことを指しているのでしょう。
要は最初から「ワクチンが悪いんでしょ」と決めつけた報告が増えやすいという問題点です。
不完全なデータとは
一般の方からの報告なので、データが完全ではないということかと思います。(医師が書いている訳ではないので、ワクチンが原因かどうか充分な情報が得られない)
これらのメリット・デメリットから、VAERSは多くの副反応報告を迅速に収集できるが、全てを鵜呑みにしてワクチンの因果関係を決めることはできないと理解すればいいかと思います。
過少報告について
厚労省の資料だけを見ますと、VAERSは参考になりづらいものとも考えられます。
しかし一方で次のような研究結果もあります。
アメリカの保険福祉省(HHS)の医療研究品質局(AHRQ)がハーバード・ピルグリム・ヘルスケア社(ハーバード大学医学部との産学共同会社)にVAERSの調査を依頼したものです。
その最終報告結果(6ページ目)に次のようにあります。
薬やワクチンによる有害事象は、過少報告されていました。
外来患者の25%が薬の有害事象を経験していますが、全ての有害事象の0.3%だけがFDA(米国食品医薬品局)に報告されています。重篤な有害事象についても、報告されていたのは全体の1~13%でした。
同様に、ワクチンの有害事象も全体の1%未満しか報告されていませんでした。
この研究は2006年6月~2009年10月までの715,000人を対象にしたものです。
あくまでこの期間で1%未満、という話ではありますが、今回のコロナワクチンの報告数についても相当に過少報告されていてもおかしくはないと思います。
まとめ
VAERSについてまとめます。
- レポートバイアスのかかった報告が多い可能性がある。
- 一般人も報告できるので、本当に因果関係があるのか特定が難しい
- しかし報告件数は1%未満という指摘もあり、過少報告の可能性が高い
最後の「1%」というのが無ければ、確かに厚労省のいうようにVAERSの報告数を鵜呑みにするのは早計かと思います。
しかし1%のことを知り、個人的には「むしろ副反応に苦しんでいる人はもっと膨大にいるのでは」と思わざるを得ない、というのが今のVAERSに対する見解です。